敬老金のあり方と医薬分業について

愛知県議会 平成9年2月定例会(第6号) 本文
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渡辺ひでと

最初に、第三款民生費第一項社会福祉費の敬老金について質問いたします。

まず、 お断りをしておきたいと思いますが、誤解のないようにしておきたいと思いますけれども、
今から行う質問は、決してお年寄りを粗末にしたり、厄介者の扱いを するつもりは全くありません。

むしろ、限られた財源の中でいかに充実した高齢社会の実現を図るかという視点でありますので、
あらかじめ御理解をいただきた いと思います。

さて、県として昭和三十三年から支給を開始し、
現在は八十歳以上の高齢者に対して敬老金及び長寿扇を支給しております。

百歳以上の方には、さらに敬老祝い品をあわせて支給してきましたが、
まず、九年度予算から長寿扇を予算案から外したことは評価をしたいと思います。

ところで、県では敬老金は、平成6年度、17万人11億8千万円7年度、18万2千人に12億7千万円
8年度、18万7千人に13億1千万円を支出し、平成9年度は、19万5700人に13億8700万円を予定しております。

このまま従来どおり支給し続けますと、
平成17年には25万人に対して18億円平成22年には32万4千人に23億2千万円となる予定です。

そこで、他の都道府県、特に愛知県同様に政令市を有している他の自治体の事例を見ますと、
北海道は、米寿に6千円相当の花瓶と、100歳以上に対して1万円相当の毛布を、
宮城県は、85歳以上に3千円を支給しています。

ま た、東京都は、現在75歳以上に5千円を支給中でありますが、
既に昨年の2月議会で、敬老金を支給するための条例の廃止を可決。

現在、23区並びに市 町村と調整中でありまして、
早ければ十年度より廃止の方向であると聞いております。

神奈川県では、平成5年度まで80歳から87歳まで3千 円、
八十八歳から九十八歳まで五千円、九十九歳以上には一万円を支給してきましたが、
平成6年度からは、喜寿に5千円、米寿に1万円、白寿に3万円、
100歳 には5万円を支給するように、大幅に対象者を変更いたしました。

現在の支給総額は約2億8千万円程度であります。

大阪府では、わずかに府と各市の最高高齢者の44人に対し一万円相当の記念品、
広島県では、米寿に1万円、百歳以上に3万円、
福岡県では、喜寿に5百円相当、米寿に千円相当、百歳には9千円相当、
百歳以上には五千円相当の記念品を支給。

愛知県の支給方法に最も近い方法をとっておりますのが兵庫県ですが、
その兵庫でも、現在2年に一歳ずつ対象年齢を引き上げておりまして、
来年度はまた支給 対象が繰り上がり、84歳から87歳に2千円、
88歳以上には1万円を支給することとし、
将来、88歳以上に支給対象を引き上げる予定と聞いてお ります。

以上、報告しましたように、
他の都道府県は、比較的早くから支給対象年齢を縮小する施策を実施に移しておりますが、
本県では、超高齢社 会を控え、増大する一方の敬老金、
特に年齢要件のみで、多くの収入がある人でも、
また、生活保護家庭でもひとしく受給対象になることには、
将来のあり方と しては再考を要するのではないかと思います。

同時に、市町村の一部には、厳しい経済環境の中で支出の削減を図り、
他の政策に充当することを目的に、敬老金に関しては、県が支給を縮小もしくは廃止すれば、
いち早く追随したい旨の意向を示しているところもございます。

私は、現状における県の厳しい予算環境の中で、
スクラップ・アンド・ビルドを心がけているとは言いますが、
決して十分であるとは認識しておりません。

くど いようですが、真の高齢化社会へのあるべき対応は、
高齢者を敬うことの大切さは当然でありまして、
今後ともその精神を持ち続けなければならないと十分に理 解しております。

しかし、あえて心を鬼にしまして、先憂後楽を実現いたしますと、
これからやるべきことは、高齢化を支える、
いわば次世代への対 応にあると言っても過言ではありません。

その意味で、将来への財政面での負担を極力軽減して、力を担保することに加え、
次世代を担う人々に出産しやすい環 境を整える、いわば少子化対策や、
あるいは県下市町村の在宅介護の財政支援の充実などについての配慮が必要で、
私が調査に参りました複数の自治体は、敬老金は最もおいしい財源だ、
そう位置づけまして、何年も前から事業の変更、見直しを行っていました。

そこで、以下質問いたします。
敬老金を支給し始めた理由はどんなものであったのか。
今日、旧態依然として敬老金を支給し続ける理由は何か。
また、他県の動向についてどのような見解をお持ちであるのか、伺います。

さらに、県当局の今後の方針をお示しをいただきたいと思います。

以上で、敬老金についての質問を終わります。

次に、第四款衛生費第四項医薬費のうち、医薬分業調査費について質問いたします。

県では、昭和56年度から医薬分業調査費を計上し、
愛知県薬事審議会の医薬分業検討委員会でも、
県医師会、県歯科医師会、県薬剤師会と県当局は継続して協議してきましたが、
本年度には、患者代表者を加え、新たに同審議会の医薬分業推進委員会として衣がえして、
分業の推進が一層期待されていた矢先、
平成8年6月四日付で中部管区行政監察局から東海北陸地方医務局並びに愛知県に対して、
医薬分業を推進指導するように求める地方監察結果が出されました。

平成7年11月での医薬分業実施率は、全国平均で22.2%にとどまっており、
特に愛知県は、わずか8.1%と大きく下回っています。

今後の高齢化の進展 や疾病構造の変化に伴って、薬剤の併用や長期服薬が増加しており、
医薬分業を推進することは、重複投薬や相互作用の発生を防止し、
医薬品の適正使用を進め る上で欠かすことができないと言われています。

既に平成7年3月に、愛知県薬事審議会が知事に対して、
医薬分業率30%の達成をめどとすべき旨を答申して います。

私は、医薬分業がなかなか進まない問題点として、
薬剤の種類そのものが1万4千種程度を数えるほど極めて多いこと。

また、強制分業の形 をとっている欧米に比べまして、日本では任意分業となっており、
各病院、診療所の使用医薬品の種類が著しく多いこと。

また、病院などに比べて、各薬局の備 蓄医薬品の種類が極めて少ない点という
アンバランスな状態にあることを指摘してよいのではないかと思います。

そこで、処方せんの応需体制の整備 について見てみると、
愛知県地域保健医療計画では、平成8年度までに保険薬局2200、基準薬局1200、
地域の医薬品備蓄センターの機能をあわせ持つ基幹 薬局を96整備することとしています。

さらに、保険薬局への医薬品供給体制として、
医薬品備蓄センターを八つの二次医療圏ごとに整備することとしていま す。

しかしながら、医薬品備蓄センターは、現在4医療圏にしか設置されていません。

また、中部管区行政監察局の監察結果によると、
薬歴管理や服薬指導についても、応需薬局に問題点があることも指摘されています。

そこで、以下質問いたします。
処方せん応需薬局の今後の整備に対し、県当局はどのように見込んでおられるのか。
また、いかに対処しようとしておられるのか、お伺いします。

また、医薬品備蓄センターの整備については、国では各医療圏ごとに補助を行っていますが、
2カ所目以降は県単独での補助を行うのか、本県の整備方針をお示しください。

次に、薬歴管理、服薬指導についてでありますが、
厚生省が策定した薬局業務運営ガイドラインでは、
薬局に対してその励行を指導するよう通知してきていますが、
閉局時の連絡先の掲示がほとんどなされていないと言われます。
県当局としていかなる指導をなさっておられるのか、お尋ねいたします。

さらに、薬局ごとの対応の違いによって、患者が戸惑いを感じることに加え、
重複投薬、禁忌、副作用や薬の飲み合わせという直接健康にかかわる情報提供などに対して
どのように対応していかれるつもりなのか、お尋ねをいたします。

次に、地元薬剤師会が保険薬局の調剤能力に対する不安を挙げている例も見られますが、
県当局はいかなる取り組みをしていくのか、お示しください。

一方、患者側との関係についてでありますが、医薬分業を進める上で、
患者負担の増加や、薬局に改めて足を運ぶ煩わしさなどの負担がふえる点についても、
十 分な理解を求める必要があると考えます。

しかし、患者にとっては、先ほど申し上げたように重複投薬を避けるなどの大きなメリットもあります。

今後は、任意分業の現状から、患者の自己責任がより重視されることになりますが、
こうした点を含めて健全な薬との関係の構築に向けて、
行政としてどのように対応していくのか、県当局の所見を求めます。

以上で、第一質問を終わります。

 


民生部長(水野隆夫)

敬老金についてでありますが、敬老金は、高齢者の長寿をお祝いしますとともに、
長年本県の発展に寄与されてこられた方々に感謝申し上げる趣旨で、
昭和33年から始めた事業でありまして、その趣旨は現在も変わっておりません。

また、他県の見直しにつきましては、
それぞれの沿革や実情に応じて行われたものであろうと考えております。

本県におきましては、毎年、来年も敬老金が受けられるよう健康に注意して、
長生きするよう頑張りますといった感謝のお手紙やはがきを多数いただいておりま して、
高齢者の生きがいを高める上でも有意義であると認識いたしております。

長年社会に貢献されてこられた高齢者を敬うことは非常に大切なことでありますので、
この制度の有意義な面、有益な面にかんがみまして、
当面は現行制度を継続してまいりたいと考えております。

 



衛生部長(清水國樹)

処方せん応需薬局の今後の整備についてでありますが、
県薬剤師会で は、特に保険薬局のうち、用いられる頻度の多い医薬品、
これを繁用医薬品と言いますが、
この繁用医薬品百品目を備蓄する基準薬局
及び繁用医薬品五百品目を備蓄する基幹薬局の整備を進めております。

平成8年7月の末現在では、基準薬局が1160所、
基幹薬局が129カ所となっておりまして、
愛知県地域保 健医療計画に対し、ほぼ順調に整備が進められております。

県といたしましても、今後も、
処方せん発行に的確に対応できる薬局の整備を計画的に進めるよう、
県薬剤師会を指導してまいりたいと思います。

次に、医薬品備蓄センターの整備についてでありますが、
国の医薬分業推進支援センター整備要綱では、
おおむね二次医療圏ごとに一カ所設置するものといたし まして、
当該二次医療圏の面積、薬局数等に応じまして増加できることになっております。

したがいまして、具体的に整備計画が出てまいりました時点で、
国の補助制度の活用を図りながら検討してまいりたいと思っております。

次に、薬局業務運営ガイドラインに関する薬局への指導についてでありますが、
薬局が閉店しているときの連絡先の掲示については、
本年度の処方せん応需薬局に対する監視指導の結果、81.3%の薬局で掲示されておりました。

このため、未掲示、まだ掲示されていない薬局に対しましては個別に指導してまいりますが、
掲示されている薬局におきましても、休日、夜間の対応が可能かどうかということになりますと、
懸念される点もございます。

一部の地区薬剤師会におきまして、休日、夜間の当番薬局制をとっているところもありまして、
今後、県薬剤師会ではこうした体制を広げていくこととしておりますので、
県としても大いに期待をいたしているところでございます。

薬歴管理や服薬指導についてでございます。

平成5年4月に厚生省から通知されました薬局業務運営ガイドラインの励行につきまして、
周知徹底を図っておりますが、さらに、薬歴管理及び服薬指導の適切な実施につきまして、
平成8年6月に、愛知県薬剤師会長に重ねて通知をいたしまして、徹底を図ったところでございます。

また、薬剤師法が一部改 正されまして、
平成9年の4月から、調剤した薬剤の適正使用のために必要な情報を患者に提供することが
薬剤師に義務づけられることになります。

こうした法 改正の趣旨を踏まえまして、
患者さんが戸惑いを感ずることがないようにしてまいりたいと思っております。

薬局薬剤師の調剤能力の向上についてで ございますが、
従来から、県薬剤師会におきまして、
病院等における調剤実務研修や医薬分業推進のための各種研修会を実施してまいりました。

今後とも、能力 の向上について計画的に研修を実施するよう、
県薬剤師会に対し徹底を図ってまいりたいと思います。

医薬分業についての患者への啓発でございますが、
従来から、パンフレットや広報紙によりまして県民の方々へPRを行ってまいりました。

また、患者本位の地域に密着した医薬分業を推進するために、
平成四年度から医薬分業定着促進事業をスタートさせまして、
一つの医療圏を設定し、医薬分業のよい点だけでなく、問題点についても周知を徹底してまいりました。

来年度はさらに一医療圏を追加いたしまして、
二つの医療圏で実施するなどして、
今後も、医薬分業の推進に一層努めてまいりたいと考えております。

 



知事(鈴木礼治)

敬老金でございますが、私も、毎年百歳のお年寄りの家庭を訪問しまして、
これは、数が多いもんですから、
名古屋市長さんと一緒に、名古屋市内一カ所に限って行っておりますが、
敬老金や祝い品をお渡ししておるわけでありますが、
きんさん、ぎんさんのときも、ちょうど私と名古屋西尾市長と行きまして、
そのときのきんさん、ぎんさんのテレビに映った受け答えから、あの方々が能力があると。

大変タレントだということで、
今日のようにきんさん、ぎんさんが有名になっておられるわけでありまして、
最初は、私と西尾さんが行ったときが最初で ございました。

事ほどさようにお祝いを持っていくわけでありますが、
大変喜んで、そりゃまあそうでございますが、喜んでもらえますが、
これは、額は五千円 とか一万円とか少額でございますが、
言うなれば、県からの長寿のお祝いの気持ちをお贈りするということでございますので、
当面この制度を続けてまいりたい と考えております。

長寿扇は、
実は地元ゆかりの画家の絵を扇面にかいてもらうということでお願いをしておりまして、
二十年を経過しまして一応の 区切りがつきましたので、
今年度限りでやめて、これはそういう、長寿扇はようけたまると、長生きされますと。

ということも話も聞きまして、初めていただい たときはよかったけども、
何年ももらうと、長寿の扇ですね、長寿扇、これはもう、ちょっとそんなような話もございまして、
ちょうど画家の絵を頼んでおりましたが、
地元ゆかりの、二十年で一区切りがついたということでやめまして、
高齢者の、百歳以上の高齢者の祝い品の充実とか、
あるいは在宅福祉サービスの充 実の財源に回すなどして見直しをしておるわけでございます。

 



渡辺ひでと

それぞれ御答弁をいただきましたけれども、敬老金の話でありますけれども、
今、知事の方からお話のありましたように、お祝いの気持ちでお渡しをなさっておられる。

これは確かに非常に結構な話ですし、多くの方々が長生きをし ていただきたい。

その気持ちは私どもも同様でありますが、特に長寿扇につきましては、
何も廃止までしなくても、むしろ、
一回こっきり渡すというやり方もむしろ逆にあったということだってあり得るわけです。

それから、その他の敬老金ですけれども、
山梨県では、例えば具体的に制度を見直しを現実に行 いましたし、
その経過、後には、また改めて要望も強くて復元をしたという事実も確かにあるわけです。

また、一部の高齢者の方々から、
敬老金の支給を継続するように求めるという声も、現実あるわけです。

しかしながら、これからの少子化あるいは高齢化の現状やあるいは将来を考えますと、
今すぐにでも見直しをするのが適当なのではないか。
今ちょうどその時期に来ているのではないか、こう思うわけです。

その理由といたしまして、いざ将来、現制度を見直そうというときになりましてから、
非常に多くの方々が対象者としておいでになるわけですから、
その多くの、逆にまた継続しろというような声がより大きくなるのではないか。

現在、ちょうど行政改革に対する国民の理解といいますか、
県民の理解というのが進みつ つある段階でありますし、まだまだ対象者が比較的多くない時期。

多いことは多いわけですけれども、その時期がちょうど今なのではないだろうかなということで、
今の質問をさせていただいたわけでございます。

県として、改めてこれからの考え方といいますか、
いかに考えられるのかお尋ねをしまして、第二問を終わりたいと思います。

 



民生部長(水野隆夫)

敬老金の見直しについてでありますが、
敬老金は、長年の御苦労に対す るお祝いの気持ちとしてお贈りいたしますとともに、
やはり高齢者の生きがいを高める上でも有意義でございますので、
お示しの山梨県の例をも肝に銘じながら、
当面は現行制度を継続してまいりたいと考えている次第でございます。

 



知事(鈴木礼治)

今、民生部長が答えないかと思ったもんですから、
私からも同じことになりますけれども、当面はとにかく続けさせてもらいますが、
今、このような議員から御質問があったということは、やっぱり時の流れの一つであろうと思います。

結論は、当面続けるということでございますし、
それから、議員の御質問も、冒頭に削減を意味しておるのではないという意味の前置きがございましたが、
大変難しい問題でございまして、そりゃ、
山梨がやめたりやったりというようなこともうなずけるわけでございます。

どちらにも理屈があるわけでございまして、やめるのにも理屈がありましょうし、
やるのにも理屈がありますので、
そのときそのときの世の中がどういうふうに流れるかということが大きなバックになろうかと思いますので、
今また軽々に、私も議員の説に賛同してみたり、反対してみたりしましても、これいかがなもんかと思います。

結論は、当面ちょっと続けて、世の中の移り変わりをよう眺めまして、じっくりと考えてまいりたいと思います。

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