情報化の推進と行政合理化などについて

平成11年6月 愛知県議会定例会

1. 情報化の推進と行政合理化について
2. 
小児保健医療総合センターと病病連携、病診連携について
3. 
精神障害者の社会復帰施設について
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渡辺ひでと

私は、通告に従いまして、三点について順次質問してまいります。

最初に、情報化の推進と行政合理化について伺います。

行政改革というと、まず事務事業の見直しや組織機構の見直しなどが思い浮かびますが、
今日のようにコンピューターや周辺機器の小型化、高速化、大容量化や価格が大幅に低下したことによって、
情報通信が行政改革に果たす役割が大いに注目されるべきことはもちろん、
今、その環境条件が整ってきていると言えます。

また、現在の情報通信技術の水準は、いつでも、どこでも、だれとでも、どんな情報でも、
個人の要望に合わせて容易に通信できるという通信の理想の形に大きく近づいていると言えます。

こうした状況にあって、本県も、本年1月19日から愛知県行政情報通信ネットワークの運用を開始して、
本庁や地方機関を高速ディジタル専用回線やISDN回線などで結び、
あらゆる県機関の情報の共有化を可能にしています。

このネットワークの利用で全庁共通業務等をシステム化して、
全庁掲示板を配して職員に周知すべき事項を知らせたり、
電子メールの利用によって、相手の都合を気にすることなく、
いつでも、より速く、簡単に情報を伝達できるばかりか、受け取った情報をワープロなどで加工して再利用できるなど、
事務の効率化にも大いに役立っているものと思われます。

また、本庁会議室を予約するシステムは、迅速かつ効率的に会議室を予約できるばかりではなく、
将来、スペースの縮小化にも結びつけることができると考えられます。

一方、防災無線の周波数帯の移動に伴って、
県下市町村と平成十四年度までに順次新総合通信ネットワークを構築して、
県関係機関はもちろんですが、市町村同士でも、防災情報のみならず、
その他の行政情報の照会、連絡、情報交換など機能の充実に努め、
効率化を推し進めることができるようになります。

この二つの通信ネットワークの整備は、県の機構改革を初め事務事業の見直し、
また、情報内容や時間格差が生じやすかったこれまでの情報伝達のあり方が大きく変化し、
行財政改革や情報改革の是正にも大きな役割を果たすのではないかと期待するものであります。

そこで、以下質問してまいります。
まず、高度情報化の推進における職員の能力の向上などについて伺います。

パソコンなどを使いこなすには、習うよりなれろとも言われますが、
情報化の推進を軌道に乗せ、業務面の省力化や省資源化を達成するためには、
機械に振り回されるのではなく、使いこなしていくことこそが大切であると思います。

そのために、まず、管理職から率先してパソコンを使用してこそ職場の事務事業も円滑に機能し、
省力化されることも多いと思います。

情報化の推進は、こうした点から今後の行政改革につながる大切な要素であると思います。

民間では、それぞれ、オン・ザ・ジョブ・トレーニングや自己投資、自己研さんで、過度な研修などを行わず、
情報化推進に必要な水準を達していると伺っていますが、本県ではどのように取り組んでいくのか、
お尋ねいたします。

 

次に、情報化の推進による行政機構の変革について伺います。

現在は、細分化している職務分担の制度や各事務所の機能は予算の体系に基づいて縦割りで行われており、
その結果、必要以上に職員をふやしていることになっているのではないかと危惧いたします。

また、情報化の推進で、業務の効率化や職務分担のフラット化、
人員の大幅な削減にも大いに役立つものと期待いたします。

高度情報化を確実に推進することによって、第三次行政改革大綱に記されていた平成13年度の実施から、
平成12年度実施に前倒しして実施される部局の再編等を契機に、職制のあり方なども含め、
行政機構が大きく変化していくべきものと考えます。今後の方針をお尋ねいたします

 

三点目に、本庁と県の出先機関や市町村との情報格差の是正について伺います。

本庁と出先機関や県と市町村の情報連絡には、これまで郵便や会議等で行っているにもかかわらず、
市町村の各自治体との情報格差はもちろんですが、
ともすれば県職員の間でも、
本庁と出先機関との間に情報の量や質に格差が生じることに大きな疑問を感じていました。

もとより行政の情報は、市町村などの行政機関にとって地域間の情報格差が生じることは、
すなわち住民サービスの低下につながることから、あってはならないことだと思います。

県は、第三次行政改革大綱の中で、
こうした情報格差の生じる要因となっている総合事務所機能などの見直しも掲げられていますが、
情報化の推進に当たって、情報格差が生じない工夫が必要であると思います。
今後どのように配慮していくのか、お尋ねいたします。

続いて、県と市町村との間において構築する情報ネットワークの一元化について伺います。

現在、県と市町村の間を中心に、新総合通信ネットワーク整備事業が進められようとしていますが、
県のそれぞれの事業担当部局、または関係団体において、既に構築されたネットワークや、
今後構築を検討されるものもあると思います。

新たに新総合通信ネットワークを中心にしたシステム化が図られるに当たって、
市町村との既存のネットワークやこれから構築するものも、
できる限りネットワークを一元化することが望ましいと思いますが、
どのように対応しているのか、お尋ねいたします。

 

次に、小児保健医療総合センターについて伺います。

仮称小児保健医療総合センターが、財政の大変厳しい時期にもかかわらず、
昭和48年度に検討が始まって以来26年余を経て、今回、ようやく建設に踏み切ることになりました。

今日、小児病床は毎年のように縮小していく傾向にあり、県内小児専用ベッド数は、
平成7年の1944床から、平成10年には1679床となり、一床当たりの15歳未満人口577人から654人に、
また、十五歳未満人口の減少率は2.1%であるのに対して、
小児専用ベッドは13%以上の減少となるなど、必要ベッド数に対する減少幅に歯どめがかからない状況にあります。

その背景には、患者である子供は、大人に比べて治療に人手と手間がかかったり、
薬剤が成人より少ない量しか投与しないなど、大人の分野に比べ、
収入の割に看護婦や医師を大幅にふやさなければならないことが要因であると言われます。

子供を取り巻く環境の変化は著しく、健康に生まれたにもかかわらず、
小児生活習慣病や不登校、心身症など新たに医療行為が必要とされる分野が広がっていることや、
聴力言語障害や口唇口蓋裂など早期治療と集中化が望まれるのが現状ですが、
現在の医療体制では十分な対応をすることが困難なケースが増加しており、
これらに対応することが急務となっています。

また、少子・高齢化が一段と進展する中で、生産年齢人口の減少や国民負担率の上昇が懸念されるなど、
少子化が社会に及ぼす影響を考えるとき、
小児保健医療総合センターが少子化を抑制できる機能的役割を果たしていくことが重要であると思います。

そうした状況の中で、この予算では、
保健部門と小児慢性疾患児の受け入れとしての一病棟分と外来部門などに限った形での一部着工にとどまり、
本格運用にはほど遠い状況でのスタートと言わざるを得ません。

しかしながら、県財政が一段と厳しいときにあって、このたびの小児保健医療総合センターの建設は英断であり、
部分オープンとはいえ、子供や親にとって安心できる小児医療体制が確立される方向に大きく動き出したことは
極めて意義深いと思います。

そこで質問いたします。

まず、人材の確保について伺います。
小児保健医療総合センターで必要とされる医療水準を確保するには多才な人材を求める工夫を要すると思いますが、
どのように対処するのか、お尋ねいたします。

また、一部機能だけをオープンする状況では、
必要とされる人材の確保に支障を来すのではないかと考えられます。
所見を求めます。


次に、小児保健医療総合センターと
病院や診療所との連携をとる、いわゆる病病連携、病診連携について
伺います。

愛知県には、既に1980年、全国に先駆けてつくった新生児救急医療情報システムや、
昨年には周産期医療ネットワークが発足して小児医療の一分野を補完してはいますが、
医療技術、とりわけ臨床検査が重要視される中で、つい先ごろまで、
小児科領域の検査の物差しが十分定まらない状況で、小児科医の経験と勘に頼るところが大きいとも伺っています。

しかし、子供の病状の変化は大人に比べて大変速く、こうした点を踏まえて、
病病連携や病診連携など基幹病院ネットワークシステムが構築されることが重要であると思います。
今後その構築に向けてどのように対処していくのか、お尋ねいたします。

続いて、保健所機能との連携について伺います。
これまで保健所や市町村が担っていた小児保健の分野に加え、
小児保健医療総合センターの保健部門がその役割を充実、強化するとされていますが、
今後、保健所や市町村などとの連携をどのようにしていくのか、方針をお示しをいただきたいと思います。
また、母親などへの啓発や情報の発信をどのように行っていくのか、お尋ねいたします。

さて、有効な少子化対策はないとも言われますが、
ただ手をこまねいているばかりでは何も得られるものはありません。

財政は大変厳しいときであり、これまで以上に、
最小の投資で最大の効果が期待できるよう事業の見直しをすべきであるとは思いますが、
一方で、目先の赤字の発生にばかりとらわれるのではなく、世代間の人口構成をいかに均等化できるかが、
次世代の負担を必要以上に大きくしない重要な要素であると思います。

言いかえれば、
社会を支える若年層の人口構成比率をふやすことが社会の活力を保つ上で大変重要であると思います。

その意味で、小児保健医療総合センターでは、親の子育て不安を解消し、
一人でも多くの子供を産み育てる喜びを感じられる状況を支える機能を持たせることが重要であり、
保健部門などの機能の充実に最善の努力をしていくべきではないかと思います。

また、毎年の赤字は覚悟しつつも、いかに抑制していくのか十分配慮した上で、
当初計画に基づいて全面オープンを急ぐべきではないかと考えます。
知事の所見を求めます。


最後に、精神障害者の社会復帰施設について質問します。
現代社会は、とかくストレスの増大などにより心の問題を抱える人がふえていると言われます。

患者調査によれば、精神障害者数は、
平成3年度に既に100万人を超え、平成5年に157万人、平成8年には217万人と急増しており、
今日では、だれでもその状態に陥る可能性があると言えます。

しかしながら、精神障害というと、難しい問題として社会的偏見の中で扱われてきました。

精神障害は、早期に適切な治療や福祉的援助を受けられれば相当程度回復が可能とされていますが、
適切な治療が受けられなかったり、社会復帰や福祉対策の不足などでなかなか退院できなかったり、
退院しても行くところがなく家に閉じこもってしまうなど、
本人や家族にとってもその苦労は大変なものであると推測できます。

こうした中、平成7年12月、国において障害者プラン、ノーマライゼーション七ケ年戦略が策定され、
平成14年度をめどに、地域の精神保健福祉施設の充実に向けた目標が掲げられ、
愛知県においても、精神障害者の自立と社会参加のために諸施策の充実を図っておられます。

殊に、精神障害者小規模保護作業所を初めとする施設の充実は、
精神障害者の社会復帰に欠かせないと言われ、
県も作業所を保健所や支所単位に最低一施設を設置することとしていますが、
いまだ設置されていない地域もあると伺っています。

そこで質問いたします。
精神障害者小規模保護作業所は民立施設ではありますが、
精神障害者の社会復帰への重要な役割を担っていると思います。

作業所の設置に向けた取り組みに保健所も積極的にかかわり、
市町村などにも協力を求めていると聞き及んでいますが、
障害者プランを策定している関係市町村の理解も極めて重要であると考えます。
そこで、未設置地域において、今後、県はどのような設置方針で臨まれるのか、お尋ねいたします。

また、精神障害者小規模保護作業所のない地域では、
知的障害者の福祉施設など他の施設の利用を促していく必要があると考えます。
最後に所見を求めて、質問を終わります。

東海豪雨水害後の治水対策や危機管理体制について

平成12年12月定例会(第3号)

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渡辺ひでと

去る9月12日の東海豪雨水害後、はや三カ月近くになろうとしています。

被災地の中でも、床上浸水を受けられた方々で、家屋の修繕にめどが立ち、
やっと生活できる程度に復旧できた家はいまだに半数にも満たない状況です。

また、事業を営む方々は、9月、10月は通常業務が行えず、本来入るべき収入が途絶えたばかりでなく、
機材や商品などの廃棄や修繕のために新たな投資を余儀なくされるばかりか、
事業の再建を断念し、廃業に至る人たちも決して少なくありません。

大企業にも、設備や商品だけでも数十億円の被害を受けた企業もあり、
在住地域を離れることを決断した企業さえあります。

精神面での影響も深刻で、今でも水害当時の夢を見てうなされる人がいたり、
雨が降るたびに、心配の余り、職場から足早に家路につく人もいると聞いています。

被災者皆様には、後片づけや修繕、
さらには金銭面における気苦労などで心身ともに疲弊しておられると思います。
一日も早く従前の生活を取り戻すことができることを心から願っております。

以下質問いたしますが、私自身が被災したことによって感情論で申し上げるのではなく、
常々治水の重要性を指摘をしていた観点であることを最初に申し上げておきたいと思います。

去る11月10日、建設省中部地建と県から庄内川・新川河川激甚災害対策特別緊急事業が発表されました。

この中で、庄内川では河道掘削や築堤、小田井遊水池の改築、
平成十五年完成予定の小里川ダム建設などで治水の強化を重ね、
洗堰から新川への流入量も、今回、災害時に毎秒270トンであったものが、
70トンに抑制される方向となっていることは評価したいと思います。

新川でも、
堤防強化河床掘削治水緑地の整備、さらに内水河川のポンプを増強する方針が決められました。

しかしながら、これら事業の多くは効果を発揮するまで五年をめどとしており、
被災者にしてみれば、一日も早く安心を確保したいとの願いから、
事業完成までの間に不安を抱いているのも事実です。

現実に同様の雨が降るとすれば、仮定すれば、被害の程度は、
床上浸水約1万1900戸から約1100戸に、被害想定額も約6800億円から約1200億円になりますものの、
依然として中江川下流域や水場川右岸を中心に大きな被害が想定されます。

気象に留意すると、今回の名古屋市域の大雨は、確かに従来の比較において百年に一度の確率かもしれませんが、
三重県南部はもともと多雨域となっており、今回豪雨も飛び抜けた数値ではなく、
この付近の豪雨は二十年間でも数回程度発生し得るとされています。

さらに、多雨域は愛知、岐阜、長野などの県境付近の山間部にも出現しており、
この付近も従前から降雨量の多い地域で、アメダス観測所の最近20年の記録をおおむね上回ってはいるものの、
過去百年間の記録からも、日量300ミリ以上の事例が少なからず確認されています。

今回の東海豪雨は、多雨域が愛知県西部に出現したことが大きな特徴ではありますが、
もともと愛知県周辺に多雨域が多数存在している上、近年の記録的短時間大雨情報を見ても、
豪雨の頻度が増しており、近年、豪雨被害に見舞われた東京や福岡などと同様、
新川流域にも豪雨が降りやすくなっていると懸念されます。

しかし、治水対策の進捗度を見ると、庄内川の完成堤防は全国平均の50%をはるかに下回る二四%にすぎず、
また、新川流域総合治水特定河川を全体事業費ベースで見ても60%に満たず、
流域六河川の中でも、新川は事業費ベースで36%程度にすぎません。

これらの数字は都市河川の改修の難しさを示すもので、堤防高を上げるのも橋梁のかけかえを伴い、
また、河川沿いに住宅が密集している地域であるため、河川を拡幅することも事実上行うことができません。

しゅんせつをするにも、既設橋の橋脚の基礎を傷めないことが前提となるため、満足に治水対策が進みません。

さらに、激特事業でも計画高水位を超えることも考慮して堤防強化が行われますが、
新川堤防は河道部にあった砂れきなどの土砂で築堤したと言われ、
こうした土質構造も今回破堤した要因の一つとする指摘もあります。

また、河床勾配が緩く、潮の満ち引きの影響を受けやすい上、
破堤の下流部に位置するこも原橋と名鉄新川橋駅付近の鉄橋が、
計画高水位は上回っていたものの、堤防高を下回っており、今回の雨量に対して流れを遮ることになりました。

橋梁の改修の中でも、特に鉄橋のかけかえは線路の移設を伴い、
その実現にはまだ相当の時間がかかると言わざるを得ません。

ところが、愛知県のこうした状況とは対照的に、大阪府では、寝屋川地域で二本の地下河川を建設中で、
既にその一部が調整池として供用開始されています。

また、東京都でも文京区で同様の事業が進められるなど、積極的な対応がなされています。

本県でもこの種の事業が一時検討されたようですが、バブル崩壊とともに、
予算がかかり過ぎることを理由に、総合治水で対応することになったと伺っています。

私は、さきに述べたような制約や河川の弱点を補う点、さらには気象状況が大きく変化しつつあることを読み取り、
今後、抜本的な治水対策となる地下河川の建設を早期に行い、
地域全体の生命、財産の安全確保に努めるべきではないかと考えています。

今、被災者の間では、万博をやめて早期に抜本的な対策を行ってほしいという声が圧倒的に多くなっています。

これは、県財政が厳しいことを理解した上での切実な願いです。

万博は別の意味で必要なものですが、この指摘の意味するところは、
これまでも県は補助制度や優先順位の低い公共事業の見直しに努めているところではありますが、
さらに乾いたぞうきんを絞るような気持ちで財源を見出して、抜本的な対策の実現を県に求めているものだと思います。

県の今後の取り組みについて伺っておきます。

次に、激特事業終了時でも、
同様の雨量を仮定した場合に浸水が想定される中江川下流域や水場川右岸における対策などについて伺います。

中江川下流域は平成三年にも同様の被害が発生しています。
この上流部には、愛知県が昭和四十五年に計画し開発を進めた桃花台ニュータウンがあります。
当時、総合治水の概念はなかったものの、雨水の流出抑制のために一時的に9つの調整池をつくり、
後にこれら用地を埋め立てることを前提に、大山川と八田川の河川改修を進めることでこの開発に伴う雨水対策を実施しました。

昭和54年以降、総合治水対策が行われることになりましたが、
大規模開発に対しては、一ヘクタールの開発に当たり600立方メートルの調整池をつくることが指導できるものの、
このような指導が行き届きにくいミニ開発も極めて多かったと言えます。

この調整池は、総合治水計画が始まった後に順次埋め立てられ、
昭和63年から平成10年まで、事業会計を埋め合わせるために宅地として処分されました。

県には、総合治水対策では十分な効果を上げられない
このような法律とのすき間を埋める対応をとることが期待されていたと考えています。

現在、中江川にポンプ場の建設工事とあわせて小牧市地内の遊水池の建設計画を進めていますが、
現実には地権者の理解を得るのに時間がかかるなど、用地買収に手間取っています。

この間に上流域のミニ開発や道路整備などで雨水の流出量がふえ、
河川の負担は一層厳しいものになって被害を拡大させることになります。
この点で県は、これら流出抑制できなかった分を肩がわりすることに配慮すべきではなかったのでしょうか。

そこで質問ですが、
中江川における従来事業の継続に加えて、さらに遊水池をふやしたり、
中江川の一部拡幅などの複合的対策をとることが不可欠であると考えます。
今後の対策についてお尋ねいたします。

次に、水場川右岸の流域対策などについて伺います。

右岸に限らず、今回の激特事業の枠組みは、庄内川は国、新川は県、内水排除は市町でという、
もともと安全度が違うところに大きな問題を抱えています。

内水排除は市町で行うこととされていますが、被災自治体は災害によって復旧費用がかさむばかりか、
固定資産税などの減免措置を行わなければならず、その上、内水排除事業は市町村事業で行うことになります。

追い打ちをかけるように、中小企業の三年間の利子補給が決定され、企業にとって喜ばしい施策も、
市町にとってはさらに三分の一の裏負担を求められ、厳しい財政状況に頭の痛いところです。

水害では、県の停止要請によって浸水し、使用不能に陥った多くのポンプが今なお修理中で、
古いものは部品供給すらままならない状況であると伺っています。

殊に、ポンプを数多く所有する市町村では、
今後、ポンプの浸水被害で再稼働できない状況が二度と生じないよう、
電気系統などのかさ上げ対策などに迫られています。

ポンプ場建設は何十年もかけて実施してきましたが、災害後の機能復帰は一日も早く行うことが求められています。

災害復旧事業はポンプ場の原型復旧にとどまるものの、
単に財政上の理由で安全確保を図る取り組みがおくれないための財政的支援も欠かせないと思います。

これについての所見を求めるとともに、今後、
水場川右岸などにおけるポンプ場の浸水に対する安全対策にどのように取り組むのか、答弁を求めておきます。

新川流域総合治水協議会における県の役割についてお尋ねいたします。

同協議会は昭和55年に設置されましたが、これまでポンプ場の排出調整の合意ができていませんでした。
しかし、報道によれば、今回の災害をきっかけに、来年の6月をめどに結論を出すことで合意したとされています。

一方、日光川流域では、昭和51年9月に支流の目比川が決壊したのを教訓に、
流域の十九市町村と県の津島土木事務所長らをメンバーとして、翌年9月に要綱を決定しています。

こうした事例が身近にあったにもかかわらず、
新川流域総合治水協議会におけるポンプの排出抑制の調整会議は平成8年からしか始まらなかった上に、
具体の調整がおくれていたことで、市町の住民にとっても、
県が求めたポンプ停止に対する怒りと市町への不信だけが残る結果となりました。

加盟市町は日光川流域と同じ19市町ですが、
例えば新川沿いなどの内水地区を抱える市町は10市町となって、合意を得やすくなると思います。
また、これら市町が一体となって活動することで、
上流部の各自治体に排出抑制を促す役割を担うことができると思います。

これまで総合治水の重要性は叫ばれてはいたものの、
上流部に位置する自治体が決して十分な対応策をとっていたとは言えず、
その調整役を果たすという点で県の役割は極めて重く、
新たな補助制度の創設などで実効ある排水抑制に努力すべきであると思います。
今後の対応をお尋ねいたします。

次に、新地蔵川の改修について伺います。

地蔵川は本来庄内川に排水していましたが、
当時、洪水時に庄内川の水位上昇によって自然排水ができなくなったことから、
昭和二十七年から昭和三十八年に事業が行われて、新川に合流することになりました。

しかし、その後の流域開発によって治水安全度は著しく低下しており、
今日はむしろ庄内川に流下させることが必要となっており、
県と国の庄内川工事事務所との間での協議を進めることとされています。

庄内川は激特事業において改修を行いますが、掘削は河道部の百四十万立方メートルにすぎませんが、
現在の庄内川堤外地の状況を考慮すれば、
さらに河道掘削を上積みするとともに河床掘削を加えて実施することで
十分に地蔵川を庄内川へ排水させることが可能になると考えています。
県としての今後の対応を伺っておきます。

最後に、県の危機管理体制について伺います。

9月11日の災害に対する配備体制などを振り返ると、午前5時29分、
愛知県西部に大雨洪水警報が発令されたのに伴い、第二非常配備準備体制になりました。

以降、時間を追って、11時、15時にさらなる豪雨への警戒を呼びかける気象情報が本県にも入っています。

引き続いて、いわゆる愛知県記録的大雨情報が18時15分に名古屋市付近、
飛島村付近でともに90ミリの解析雨量が報告されたのに始まり、続報が翌未明まで順次入っています。

一方、被災地は既に夕方から県内各地で道路冠水が発生しており、少なくとも道路管理者などはこのような状況を把握し、
また、災害対策本部もこうした情報を入手していたと思われます。

自衛隊派遣の要請については、四市五町の9団体に行われ、最も早い春日井市で21時35分に要請が行われましたが、
現地では既に19時には派遣要請を考えていたと伺っています。

県のこのような情報に基づいての初動体制を検証すると、
阪神・淡路大震災を契機として、危機管理体制の充実強化に努めてきたはずですが、
残念ながら、今回、即応性に欠けたと思われます。

すなわち、当日、本部長である知事が不在であったり、特に、本年は部局再編を行ったことで、
市町村や関係機関との連携や庁内の調整作業など、必ずしも円滑ではなかったという点です。

殊に、緊急時には事務的な枠を超えた判断を迫られることもあったはずで、
この面からも県幹部の危機管理意識に甘さがあったのではないかと言わざるを得ません。
多忙を極める知事、副知事に常に在庁することを求めることは困難であると思います。

そこで質問ですが、
この際、いかなる事態にも緊急な対応ができる組織やシステムを備える危機管理対策室などを設けて、
今後の危機管理の一層の強化を行うことも大切であると考えます。
今後、県当局の危機管理の充実強化に対する取り組みをお尋ねをいたしまして、私の第一問を終わります。

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日本初の監察医研修制度実現

平成16年2月定例会 議案質疑
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渡辺ひでと

第十款警察費第二項警察活動費第一目警察活動費に関係して質問いたします。

愛知県警が、殺人、傷害致死などの事件性のあるものはもちろんですが、
こうした犯罪死でなくとも、孤独死を初めとして変死体として扱う死体数は、
平成6年に3,236体であったものが平成15年には5004体となっており、
この間も経年とともにふえ続け、当面同様の傾向が続くと思われます。

変死体というのは、病院や自宅などで亡くなる場合や交通事故など
明らかに死因が病死や事故が原因であることがはっきりしているもの以外の、
自殺、孤独死などの不自然な状態で死ぬことを指します。

もちろん、発見状況や死者本人の病歴などから、
死因が通常死と判断された場合には解剖されることはありませんが、

他殺など犯罪死の疑いがある場合には解剖されることになります。

その解剖数は、ここ数年を見ても127体から148体にとどまっています。

しかし、高齢化と核家族化の一段の進展や凶悪事件の増加などの社会的要因を背景として、
孤独死、殺人などで変死体数がふえることが予想されます。

通常、変死体の発見後、警察署の霊安室や自宅などに運び込んだ上で検視を行い、
その段階で医師に検案、つまり事件性があるなしの判断を仰いだ上で、
その疑いのあるものが解剖に回されると聞き及んでいます。

そこでまず、遺体を検案するまでに保管する場所について伺います。
県下では、表面的には地域バランスをとる形で遺体保冷庫が四警察署にあります。
冬などの寒い時期は、警察署の霊安室に遺体を運ぶことで腐乱しにくくなるようですが、
梅雨や夏の暑い時期などでは腐乱しやすい状況となると推測されます。
この状況で将来的にも十分に活動しやすい設備状況であるのか、伺っておきます。

さて、この医師による検案については、都市により実際の取り扱いに大きな違いがあるものの、
東京都内23区を初め、大阪市、神戸市、横浜市、名古屋市において監察医制度が活用されてきました。

監察医制度とは、第二次大戦後間もないころ、
東京を初めとして大きな都市ではおびただしい人が食糧不足や栄養失調などから道端などで
餓死したり病死したりしたことから、その原因の究明とその後の対策をもくろんでつくられたと言われます。

その後も引き続き監察医が中心となって変死体の検案を行ってきましたが、
検案の担い手については、この大都市の事例のように監察医が行ったり、
警察署の被留置者などの健康管理を担当する警察医が行ったり、
また、開業医や地域の拠点病院の医師などがこれに当たってきました。

しかし、高齢社会の進展や診療報酬点数の見直しなどで、医師が活動の場を広げたり、
深夜の検視に当たる活動には体力的に影響を及ぼしたりすることなどから、都市やその周辺を中心に、
なかなか検視の引き受け手が見つけにくくなっているという状況を十分認識しておくべきだと思います。

近年の各都市の状況を見ると、東京都23区では常勤監察医が9名おり、非常勤も43名の体制で、
死体取り扱い数1万5千件ほどのうち3分の2を監察医で検案しています。

ほとんど非常勤しかいない
大阪府、神戸市、横浜市でも取り扱い数の2割から4割程度を監察医が検案しています。

一方、名古屋市では10名の非常勤監察医がいるものの、ほとんど活用されず、
平成15年には、警察が変死体として取り扱った死体数が約1800体もあるにもかかわらず、
検案数はわずかに13体しかなく、そのすべてが解剖に回されているのが現状です。

そこでまず質問いたしますが、
他都市に比べて名古屋市における実質的な監察医の稼働状況が低く、
当面監察医で賄われる傾向であるとも受け取れます。

市民病院などの地域の拠点病院であれば、
医師の勤務の実情に合わせて時間的な融通がきくことにもなり、

開業医に比べて検案にも対処しやすいようにも思われます。

今後は、おのおのの立場を踏まえて、うまく混在させる手法が求められていると思います。
今後の対応を伺っておきます。

ところで、変死体を検案するには法医学の知識が必要であるとされていますが、
開業医や勤務医を問わず臨床を中心として活動することから、
その専門性に全幅の信頼を置くことが好ましいのか疑問に思います。

警察の検視官が事件性を疑う死因においても、
検案に当たる医師が病死などによる通常死と判断する場合もあると聞き及んでいるからです。

もちろん、こうした場合でも、疑わしきは調べるという基本から、
検視官の意見が尊重されて司法解剖されることは申し上げるまでもありません。

しかし、他県の事例であるように、変死体を一たんは通常死とした事案が、
実は身内による殺人事件であったという場合もあります。

しかも、犯人が自首したことで明るみに出たといいますから、
自首しなければ事件にならずに片づけられたことになります。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

医師といえば一定の見識を持っていることから、専門外でもある程度の見立てはできます。

しかし、必ずしもみずからの専門分野のようには明るくないとされる上、日ごろ法医学には興味はなく、
ほとんど臨床経験しかない医師が、
主として活動する専門分野と異なる部位を診るケースも多いと言われます。

事件性を帯びた事案であれば初動期の素早い対応が重要ですが、
そのためには法医学に明るい医師もしくは専門的活動をする人材を育てることが必要だと思います。

現実には医師免許を取得した人は、同じ時間を費やすのであれば、
死亡後の法医学よりも生命を救う医療活動に従事することを望んでいると思います。

さらに、我が国では監察医制度自体の存廃が問われているとも聞き及んでいますが、
核家族化が進み、犯罪事案も極めて多いアメリカでは、
医師ではないものの法医学への専門性の高い人材を育て、登用しているコロナー制度があります。

コロナーと呼ばれる検視官は、ドクター刑事とも言われているようですが、
死に際して医師が立ち会えなかった死の現場を医学的見地からその死因を徹底的に究明すると言われます。

我が国では、検視に当たる事案の多くは、実態的には警察が担当しているものの、
建前上、検視は検察側が対応できないときに、
委託を受ける形で警察側がこれに対処すると聞き及んでいます。

そこで質問です。
医師の活動が大きく変化している現在、都市部においては、
いつまでも検視に際し検案の役割を臨床の医師に求めるのは難しくなると思います。

県警は昨年より体制の充実を図っており、新年度においてもさらに充実すると伺っていますが、
今後も県警独自にさらに専門性の高い検視官の育成に努める必要があると思います。
その方針について伺います。

また、国に対しても、
今日の社会的背景をとらえて諸制度のあり方を見直すことを求めるべきであると思います。
検視、検案の現状についての認識と、中期的、長期的視野での今後のあり方について答弁を求めて、
質問を終わります。

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